「湊かなえの新作、気になってるけど分厚いし読む時間が……」
そんなあなたに朗報です。実は本作『暁星』は、書籍よりも先に音声で配信された「オーディオファースト」作品。つまり、最初から「聴かれること」を想定して書かれた物語なのです。
実際にAudible版を完走した私が断言します。
この作品は、活字で読む以上に、音声で聴くことこそが「正解」かもしれません。
今回は、超実力派声優・早見沙織さんと櫻井孝宏さんがW主演を務める、Audible版『暁星』の凄まじい魅力について語ります。

1. 「声」がネタバレの伏線を強化する? 圧巻の演技力
本作の主人公は二人。それぞれのパートを、声優界のトップランナーが担当しています。
これが単なる「朗読」の域を超え、まるで「耳で聴く映画」のような完成度になっています。
早見沙織さん(星 役):透き通る声の「凄み」
早見さんの演技は、とにかく明るく透き通っています。語り手としての前向きな意志を感じさせるその声は、一見すると「美しい物語」を紡いでいるように聞こえます。
しかし、ここが重要なポイント。
彼女が語る内容(作中の小説)はフィクションの体をなしていますが、その声に宿る「圧倒的な現実味」が、後半に明かされる真実の残酷さと重なったとき、鳥肌が立つほどの「凄み」に変わります。
綺麗な声だからこそ怖い。その対比は、音声ならではの体験です。
櫻井孝宏さん(暁 役):闇を背負った「やさぐれ感」
対する櫻井さんの演技は、暗く、どこかやさぐれた雰囲気を纏っています。
言葉の端々から、彼が育った歪な家庭環境や、過去に受けた屈辱が滲み出ているのです。
「ああ、この人はこうなるべくして、今の『永瀬暁』という人間になったんだ」
説明的な文章がなくとも、声のトーンだけでキャラクターの背景にある絶望を痛いほど感じさせます。
2. 運転中も家事中も「手が止まる」没入感
私は主に、通勤時の車の運転中や、家事の合間に聴いていました。
これが、ある意味で危険でした(笑)。
二人の声優の演技があまりに素晴らしく、物語への没入感が凄まじいのです。
「次はどうなるんだ?」と気になりすぎて、本来やるべき家事が疎かになり、手が止まってしまうこともしばしば。
眠る直前ですら「あと少しだけ」と続きが気になってしまう。活字の本を開くのはエネルギーがいりますが、Audible版は再生ボタンを押すが最後、物語の世界から抜け出せなくなる引力があります。
3. 「分厚い本」が苦手な社会人にこそ推したい
『暁星』は、読み応えのある長編ミステリーです。
普段本を読まない方だと、その厚さを見ただけで心が折れてしまうかもしれません。
しかし、Audibleならその心配は無用です。
スマホで再生するだけなので、物理的な本の「重さ」に圧倒されることはありません。
- 通勤の移動時間
- 単純作業中
- 寝る前のリラックスタイム
特に忙しい社会人にとって、移動中にスマホをいじって時間を潰しているだけの時間はもったいないですよね。その「隙間時間」が、プロの声優二人による極上のミステリー体験に変わります。
まとめ:これは「デジタルボイス」では味わえない
最近はAIによる朗読も増えていますが、本作に関しては「人間(プロ)の演技」でなければ絶対に成立しません。
二人の主人公の視点や思惑の違い、感情の揺れ動き……
それらが声の抑揚だけでダイレクトに脳内に流れ込んできます。
活字で読むのが辛い重厚なテーマも、美しい声の演技に導かれることで、最後まで一気に駆け抜けることができるはずです。
まだ聴いていない方は、ぜひ体験してみてください。
耳から摂取する湊かなえミステリーは、あなたの想像を超える体験になるはずです。

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