“身近すぎる恐怖”がついに小説化。累計10万部突破の話題作をレビュー
「マッチングアプリって本当に安全?」そんな現代人なら誰もが抱く疑問に、恐ろしい答えを突きつける小説が話題を呼んでいる。内田英治による『マッチング』は、2024年2月に映画公開され、5月には紙・電子版の累計10万部を突破した注目の作品だ。
なぜ今『マッチング』が読まれているのか
現代社会で急速に普及したマッチングアプリ。
1年以内に結婚した夫婦の出会いのきっかけや、”婚活”方法において20代ではトップにランクインするなど、今や出会いのツールの大本命となった身近な存在だからこそ、この作品の恐怖は読者の心に深く刺さる。
鬼才・内田英治が描く現代ホラーの傑作
映画監督としても活躍する内田英治が、原作・脚本・監督を務め、”出会い”の裏に仕掛けられた恐怖を完全オリジナルで描く新感覚サスペンス・スリラーとして世に送り出した本作。
1971年ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。
映画監督、脚本家として99年、テレビドラマ『教習所物語』で脚本家デビューした多才なクリエイターが手がけた渾身の一作だ。
『マッチング』のあらすじと魅力
身近な恐怖から始まる悪夢
恋愛に奥手なウェディングプランナーの輪花は、親友の勧めでマッチングアプリを始め、吐夢という男性と会うことに。
だが彼は、プロフィールとは別人のような不気味な男だった。
以来、彼からメッセージが届き続け、外を歩くと視線を感じるようになる。
この設定だけでも十分に背筋が凍るが、物語はここからさらに恐ろしい展開を見せる。
猟奇的連続殺人事件との関連
同じ頃、巷では”アプリ婚”をした夫婦が顔にバツ印を刻まれて殺される、猟奇的な連続殺人事件が発生。
主人公・輪花に迫る個人的な恐怖と、社会を震撼させる連続殺人事件が複雑に絡み合う構成は、読者を最後まで釘付けにする。
ウェディングプランナーという職業設定の巧妙さ
唯島輪花はウェディングプランナーとして、業界大手のナガタウエディングに勤続7年目の女性。
仕事にはやり甲斐を感じている一方、恋愛が苦手で本気の恋愛にはなかなか踏み込めなかった。
この職業設定が絶妙だ。他人の幸せな結婚を演出する仕事をしながらも、自身の恋愛には奥手という対比が、主人公の心境をより深く読者に印象づける。
読者が絶賛する理由
圧倒的なリアリティ
実際に読んだ読者からは以下のような声が寄せられている
「スピード感ある展開に毎回驚愕する。人って怖い。もし自分が輪花だったら、人間不信になること間違いなし!」
このリアリティの源泉は、マッチングアプリという身近なツールを恐怖の舞台に選んだ着眼点にある。
誰もが「もしかしたら自分にも起こりうる」と感じてしまう恐怖こそが、本作最大の魅力だ。
映画との比較でも小説が高評価
「映画も見たが端折られてる部もあり、小説の方がおもしろく感じた」という声もあり、原作小説ならではの深い心理描写や詳細な設定が評価されている。
現代社会への鋭い警鐘
マッチングアプリ時代の光と影
本作が描くのは単なるホラーストーリーではない。
現代人の多くが利用するマッチングアプリの陰に潜む危険性を、エンターテインメントとして昇華させた社会派作品でもある。
「マッチングアプリってやっぱり怖そうやな…。そんな時代に恋愛しなくてよかったなと思う」という読者の感想は、作品が現代社会に与える影響の大きさを物語っている。
内田英治の多才さを示す一作
「内田英治さんっていろんなジャンルの小説書ける人なんやな。
確か『異動辞令は音楽隊!』もそうだった」という評価からも分かるように、本作は内田英治の幅広い創作能力を示す代表作の一つとなっている。
映画化で話題の相乗効果
土屋太鳳主演で映画化
2024年2月23日公開の映画「マッチング」では土屋太鳳が主人公・輪花を演じ、話題を呼んだ。映画の成功が原作小説への関心も高め、相乗効果で読者層を拡大している。
Snow Man佐久間大介出演でも注目
「Snow Manの佐久間くん繋がりで、映画に興味を抱いて、それなら原作本読んでみたくなり、購入しました。ホラーとは思わず、読んでいくうちに、佐久間くんの役柄は大変なものなんだと気付かされてしまいました」
このように、映画キャストファンからも原作への関心が高まっており、幅広い読者層に支持されている。
続編への期待も高まる
「監督の内田さんが続編を匂わせてたとか、いないとか。続編が出たらまた読みたい」という読者の声からも、作品の完成度の高さと続編への期待の大きさが伺える。
「輪花は真実を知ったあとどうなってしまうのか。報われない主人公だけどせめて幸せに生きてほしいが、きっと幸せになるのは難しい」という感想は、読者が主人公に深く感情移入している証拠だ。
まとめ:なぜ今すぐ読むべきなのか
『マッチング』は、以下の理由で現代読者必読の一冊だ。
1. 身近すぎる恐怖の新鮮さ マッチングアプリという誰もが使う可能性のあるツールを題材にした、これまでにない新感覚のサスペンス
2. 累計10万部突破の話題性 映画化との相乗効果で大きな話題を呼び、多くの読者に支持されている確かな面白さ
3. 社会派エンターテインメントとしての価値 単なるホラーを超えて、現代社会の問題を鋭く描いた作品としての意義
4. 内田英治の多才さを示す代表作 映画監督としても活躍する作家の、原作・脚本・監督を一人で手がけた渾身の作品
5. 映画との比較で見える原作の魅力 映画ファンからも「小説の方がおもしろい」と評価される、原作ならではの深い描写
現代人なら誰もが抱く「マッチングアプリの不安」を、極上のエンターテインメントに昇華させた傑作。
スマホを手にするたびに、この物語の恐怖を思い出してしまうかもしれない。
それでも読まずにはいられない。それが『マッチング』という作品の魔力だ。

