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あの悪女が帰ってきた!?野々宮恭子の正体は…『ふたたび嗤う淑女』

中山七里『ふたたび嗤う淑女』は、大人気ミステリ小説『嗤う淑女』の続編です。

そうです。

あの悪女が帰ってきたのです。

2024年に内田理央さん主演で実写ドラマ化もされた前作ですが、今度はどのような展開を見せてくれるのでしょうか。

今作でも彼女の悪女っぷりはとどまるところを知りません。

絶世の美女が織りなす、最恐悪女ミステリについての解説が読めるのは本記事だけです!

微ネタバレを含む箇所もありますので、前作未読の方は閲覧注意でお願いいたします。

目次

『ふたたび嗤う淑女』の特徴

  • どんでん返しの連続: 中山七里作品の特徴である、先の読めない展開と衝撃的などんでん返しが本作でも健在です。
  • 緻密なプロット: 複雑に絡み合う人間関係と事件の真相が、緻密に練られたプロットによって鮮やかに解き明かされていきます。
  • 個性豊かなキャラクター: 事件に関わる人々の複雑な心情や過去が丁寧に描かれ、それぞれが抱える闇が物語に深みを与えています。
  • 社会派ミステリー: 表面的な事件の背後に隠された社会問題にも切り込んでおり、読み応えのある作品となっています。

『ふたたび嗤う淑女』の要約

藤沢優美

藤沢優美は「女性の活躍推進協会」の事務局長を務めていた。

この協会の実態は、その名称による活動よりも、集めた募金などを、政治家・柳井耕一郎の下に送金するだけのカモフラ団体であった。

優美の野望は、多額の政治資金を送ることで柳井のために貢献したという実績をつくり、柳井の秘書になることであった。

しかし、日に日に資金繰りが厳しくなっていくばかりで、優美は崖っぷちに立たされていた。

そんな優美に声をかけたのが、同協会メンバーの亜香里だった。

亜香里はとある人物を紹介してくれ、優美はその人物の魅力にどんどんハマっていってしまった。

その人物とは、野々宮恭子と名乗る女性。

為替相場の数値をピタリと言い当てた恭子ならば、レバレッジを利かせても確実に利益が上がると見込んだ優美は、恭子にある依頼をする。

それは、協会の資金を運用するという依頼。

そして優美は恭子の指示に従うままに、金融機関や柳井耕一郎事務所からウンゼン万円もの資金を借受け、1億円の資金を用意する。

資金の用意ができた優美に待ち受けていた展開は想像を絶するもので…

伊能典膳

伊能典膳は副館長で終わるつもりなど毛頭なかった。

実績を残し、いつか奨道館の館長として君臨することを夢見ながら、館長からの叱責に耐えていた。

そんな伊能の下にある話を持ってきた女がいた。

館長の侍女を務めている・亜香里が、伊能の悩みを解決してくれる人物を紹介してくれるというのだ。

その人物とは、やはり野々宮恭子であった。

伊能も最初こそ疑ってかかっていたものの、自分が欲しい言葉を投げかけてくる恭子に、全幅の信頼を寄せるようになっていった。

恭子が企てた出版企画を採用し、館長に頭を下げ多額の借入金を用意してもらう伊能だったが、そこには目を疑うような事態が待ち受けていた…

倉橋兵衛

倉橋兵衛はただの不動産屋の親爺だ。

他の不動産屋と違うところがあるとすれば、柳井耕一郎という議員の後援会会長を務めていることだろう。

倉橋にはある想いがあった。

2世議員である耕一郎よりも、激闘の時代を生き抜いてきた自分のほうが政治家にふさわしいのではないか。

そして、いつかは政治という舞台で大きく活躍するのだという想いが。

そんな倉橋の前に、野々宮恭子は現れた。

恭子に言われるがまま選挙準備を始めた倉橋は、資金準備のために土地の転売に手を付ける。

自宅などを担保に銀行から2億もの借入金を手に入れた倉橋。

土地代金の振込手続きを完了させ、土地引き渡しに移ろうとしたところでとんでもない事実が発覚する…

咲田彩夏

柳井の政策秘書を務める彩夏であったが、柳井への想いは日に日に膨らんでいくばかりであった。

柳井の影に徹し、目立たずひたすらに柳井を支えてきた彼女であったが、今のままで終わる気もないようだった。

そんな彩夏の前に現れたのは、先日亡くなった後援会会長の事態収集をしてくれた津久見だった。

久津見は柳井のライバル議員と柳井の妻が不倫関係にあるというスキャンダルを持ち込んできた。

それを見た彩夏の中である考えがムクムクと膨らんできたが…

柳井耕一郎

柳井耕一郎の下にあの男が現れる。

復習に囚われたあの男が。

柳井もただで殺されるわけにはいかないと思い、とあるモノを実家に取りに帰る。

そして、柳井耕一郎の事務所にて1対1の正面対決が始まる。

最後に嗤うのは柳井か?津久見か?それとも…?

『ふたたび嗤う淑女』の感想

前作『嗤う淑女』とは少し違った方向にえぐい話でした。

複数の人物がターゲットとして登場し、話が次第につながっていき、野々宮恭子の真の狙いがわかり始めるというこの感覚。

伏線がどんどん回収されていくようで、ページを捲る手が止まらなくなりました。

やはり、中山七里、嗤う淑女といえばのどんでん返しでしょうか。

最後の1ページまで気を抜くことのできない展開にワクワクしてしまいます。

恭子の話術は他者からしてもスルリと入ってくるような心地よさがあり、当事者であればより一層虜になるのは間違いなしといった魅力があります。

こんな話術を身につけ、人を思い通りに動かす感覚というのはどのようなものなんでしょうか?

すっかりこのシリーズにハマってしまったため、続編である『嗤う淑女二人』も読まざるをえません。

恭子の悪女っぷりは凄まじいのですが、なぜか呼んでいて嫌な感じが全くしません。

この女性の悪女っぷりをずっと見続けていたい、そんなシリーズです。

『ふたたび嗤う淑女』を読んだ人のレビュー

『ふたたび嗤う淑女』はどんな人におすすめ?

  • どんでん返しのあるミステリーが好きな人: 予想を裏切る展開と衝撃的な結末を楽しみたい方におすすめです。
  • 緻密なプロットのミステリーが好きな人: 複雑に絡み合う人間関係と事件の真相を解き明かしていく過程を楽しみたい方におすすめです。
  • 社会派ミステリーが好きな人: 事件の背後に隠された社会問題について考えさせられる作品を読みたい方におすすめです。

『ふたたび嗤う淑女』:まとめ

シリーズも2作目となり、恭子の悪女っぷりに拍車がかかってくる1冊です。

ストーリーのエグさや激しさは『嗤う淑女』のほうが上かもしれません。

しかし、シリーズとして重ねていくことで、「野々宮恭子」という人間の深さをより知ることができるこの感覚がたまりません。

はたしてこの女性に底というものがあればの話ですが…

著:中山 七里
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この記事を書いた人

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