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【感想】『天使の囀り』ジャングルの奥地で出会った奇妙なサル。そのサルに隠された秘密とは…

貴志祐介『天使の囀り』の紹介です。

本作は、奇妙なサルに出会った探検隊のメンバーが次々と不可解な死を遂げていくという現象に見舞われるところから始まります。

主人公の恋人も探検隊のメンバーの1人で、死の直前に「天使の囀りが聞こえる」といった言葉を残して死んでしまいます。

恋人の死の真相を確かめるため、精神科医である北島早苗が奔走するストーリーとなっています。

目次

あらすじ

北島早苗は、終末期医療に携わる精神科医。恋人の高梨は、病的な死恐怖症(タナトフォビア)だったが、新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは、人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた『死』に魅せられたように自殺してしまう。さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で自殺を遂げていることがわかる。アマゾンでいったい何が起きたのか? 高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は、何を意味するのか? 前人未踏の恐怖が、あなたを襲う。

角川ホラー文庫 貴志祐介

感想

 貴志祐介先生の文章はやはり鳥肌が立つような不気味さがある。それも、生理的な嫌悪感を催すような表現を用いたものだ。文章を頭の中でイメージすると、相当グロテスクなシーンが描かれているのではないだろうか。
 例によって貴志先生の作品は虫要素も入ってくるため、昆虫類などが苦手な方にとっては読むに耐えない表現が多いかもしれない。
 どんでん返しもありつつ、後腐れのないストーリーは、さすが貴志先生といったところか。現実にありえそうな話というのが、より一層の恐怖を掻き立ててくれる、そんな作品であった

こんな人にオススメ!

 一般的なホラー作品に飽きてきた人におすすめしたい。多くのホラー作品では、現実には起こり得ないような恐怖が描かれている。それはそれで当然怖さを感じることができる。しかし、どうしても似通ったような恐怖体験となってしまうだろう。
 本作『天使の囀り』では、現実に起こり得そうjな恐怖を身に余すことなく感じることができる。貴志祐介先生の『黒い家』などもそうだ。生命保険会社を舞台とし、現実にあり得るかもしれない話を120%の質量で書き上げている。『黒い家』の方がどんでん返し感は強いかもしれない。
 リアルに起こりそうな話を最大限の恐怖をもって語り尽くすのが貴志祐介先生の特徴であり、私たち読者はそれに魅了される。新しい恐怖体験を味わいたい方はぜひ一読いただきたい。

著:貴志 祐介, イラスト:酒井 和男
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