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【あらすじ・感想・ネタバレ】『いつかの人質』2度も誘拐された少女の運命は…犯人の思考回路がヤバすぎた

芦沢央『いつかの人質』のあらすじ・感想をネタバレありで紹介していきます。

思わぬ誘拐から、長い年月を経て起きた恐ろしい事件を描いています。

正直、全員狂っていると言いたくなるほど、どこかみんなおかしい。

感覚が少しズレているといったほうがいいでしょうか。

二度も誘拐されることとなった宮下愛子の凄絶なエピソードに大注目の1冊です。

目次

あらすじ

宮下愛子は幼いころ、ショッピングモールで母親が目を離したわずかなすきに連れ去られる。それは偶発的に起きた事件だったが、両親の元に戻ってきた愛子は失明していた。12年後、彼女は再び何者かによって誘拐される。一体誰が? 何の目的で? 一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻、優奈の行方を必死に探していた。優奈は12年前に起きた事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた、「被害者」と「加害者」の事件。偶然か、それとも二度目の誘拐に優奈は関わっているのか。急展開する圧巻のラスト35P! 文庫化に当たり、単行本から改稿されたシーンも。大注目作家のサスペンス・ミステリー。(解説:瀧井朝世)

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注目ポイント

宮下愛子は幼い頃に誘拐されている

宮下愛子は幼い頃にショッピングモールで誘拐されています。

それは故意による誘拐ではありませんでしたが、誘拐してしまった人物は、パニック状態に陥ります。

そんな中、愛子は階段から転落してしまい、ピクリとも動かなくなります。

焦った誘拐犯は、愛子を人目につかないところに放置することにします。

しかし愛子は死んでおらず、無事発見されることとなり…

江間礼遠の妻が失踪

ある日、人気漫画家・江間礼遠の妻・優奈が失踪します。

それは突然の出来事で、礼遠にとって現実に受け入れ難い事実でした。

礼遠は仕事の合間を縫って優奈を探しますが、一向に足取りを掴むことはできません。

優奈はなぜ失踪したのか?

礼遠とはどのような状態にあったのか?

そして、宮下愛子との関係は…?

宮下愛子は再び誘拐される

優奈の失踪と同時期に、宮下愛子が誘拐されます。

幼い頃に続き、2度目の誘拐です。

警察は、江間優奈を宮下愛子誘拐事件の重要参考人として捜査しますが、警察の手でも足取りを追うのは困難を極めていました。

夫の江間礼遠も関係者と見て裏取りを進めますが、目ぼしい成果は上がらないまま時間だけが過ぎていきます。

優奈は誘拐事件に関与しているのか?

礼遠は本当に優奈の居場所を知らないのか?

緊迫感が高まってくる中、礼遠はまさかの行動に…

ラスト35ページは一気読みしかない

事件の解決編はページを捲る手が止まらないほどの読み応えがあります。

誘拐犯の不気味さと歪んだ感情に震え上がるほどです。

そして、宮下愛子という少女の強さにも驚かされます。

イヤミスを最高に楽しめる部分がこの35ページに詰まっています。

感想

面白すぎました。

イヤミスで定評のある芦沢央さんですが、序盤からまあまあ嫌な感じが出ています。

誤って連れて帰ってしまった女の子が、まさか階段から転落するという事故に巻き込まれ、死んだと思い込んで死体遺棄したところ、女の子は後遺症ありながらも生きていたという…

見事事件解決となるのですが、誤って誘拐してしまった一家の歯車は大きくズレていきます。

そしてそれが思いもよらぬところで恐ろしいものと結びついていく…

イヤミスの恐ろしいところは、なんとも言えないリアリティさにあるかと思います。

通常のフィクションであれば、自分の身に降りかかることなんて想像する余地もありません。

しかし、イヤミスにおいては、自分に置き換えて想像してしまうのではないでしょうか?

想像してしまうというよりかは、想像させられてしまうといった表現の方が正しいでしょうか。

そんなつもりがなくともそのシチュエーションを想像してしまうのです。

芦沢央さんはこれを書くのが非常に上手だなと思います。

イヤミスといえば湊かなえさんが有名ですが、芦沢央さんの小説にもまたベクトルの異なる怖さがありますので、ぜひ読んでみてください。

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