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『ハンチバック』障害者と性について取り上げた意欲作 日本人が向き合うべき社会の課題とは

市川沙央『ハンチバック』の感想です。

本作は少し特徴的で、作者自身がある症状を患っており、自身の人生を題材に書き上げられたのが本作『ハンチバック』です。

日本社会に違和感を感じている人にオススメの一冊です。

この作品を読み、あなたは何を考えますか?

目次

あらすじ

私の身体は、生き抜いた時間の証として破壊されていく

「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」

圧倒的迫力&ユーモアで選考会に衝撃を与えた、第128回文學界新人賞受賞作。

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作品のポイント

作者自身が題材

作者である市川沙央(いちかわ さおう)さんは、自分自身を題材として本作『ハンチバック』を書き上げています。

市川さんが患っているのは、ミオチュブラー・ミオパチーという病気です。

使わない筋肉はすぐに衰えてしまい、後から鍛えようとしてもその筋力が回復することはないという症状です。

昔昇れていた階段が昇れなくなったり、トイレの手すりなしでは立ち上がれなくなったりと、これだけの文章を読んでいるだけでも相当な苦難が伝わってきます。

障害を持つ者の性とは

この本で強く主張されているのは、「障害を持つ者にも性欲はある」ということだと思います。

みんながしているようなことすら普通にできないことの苦しさ。

あなたは障害者の性について考えたことはありますか?

人間である以上、障害の有無に関係なく、性欲は持って然るべきです。

登場人物の釈華は妊娠して堕胎したいと繰り返し述べています。

炎上間違い無しのこの内容、あなたは受け入れることができますか?

感想

本作を読んだことで、障害とともに生きる人の想いにふれることができました。

障害を持つ方や障害を持つ家族と生活している方にとっては勇気づけてくれる一作ではないでしょうか?

そして、幸運にも健康に生きることのできている人たちにとっては、普段触れることのできない感情に触れることができる貴重な時間です。

市川さんの主張に強く同意できる人はあまり多くはないでしょう。

それは障害がどうということではなく、他人の苦しみは誰にもわからないということ。

普通にしているように見える人であれ、なにかに苦しんでいることが多い社会です。

理解できずとも、相手をそのまま受け入れていくことが重要なのではないでしょうか。

ただ、僕は登場人物の釈華に同情はしませんでした。

なぜなら、彼女の親は資産家だったからです。

両親の死後、残された莫大な遺産に支えられ、彼女は不自由しながらも生きていくことができています。

僕は比較的健康体で、今は特に身体の不自由などはありません。

しかし生活を担保してもらえるほどのお金は持っていません。

彼女にないものを僕は持っているし、彼女は僕にないものを持っている。

所詮世の中なんてそのようなものではないでしょうか。

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この記事を書いた人

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