梨『6』の感想です。
6つの短編がつながるホラー作品です。
「輪廻」というテーマでここまで鳥肌を立たせてくれた作品は初めてかもしれません。
忙しくて時間がないけどホラーを読みたい人、寝る前のちょっとした時間に恐怖を感じてみたい人にピッタリな作品です。
あらすじ
――「だってもう、怖くてさ、地獄に落ちるのが」
新進気鋭のホラー作家・梨が描く、地獄絵図。
この本を読み終えても、恐怖は終わらない。
とあるデパートの「屋上遊園地」。峠道に存在した石塔。23分45秒の動画記録。種苗育成のためのガイドライン。幽霊の死体。エレベーターに響く声。
まるで、覗き絡繰のように次々と雪崩れ込む6つの話は、人間が最も根源的に恐れる「死への恐怖」を呼び起こす。
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作品のポイント
6つの短編がつながる
6つの短編から構成される本作は、一見すると全く関係のないような話ばかりです。
しかし短編を読み進めていくごとに少しずつ点と点が結びつき始めます。
5つの物語がつながり、最後の短編を開くときには鳥肌が凄まじかったです。
心臓がバクバクしながら読み始めるこの感覚、最高ですね。
テーマは「輪廻転生」
あなたは輪廻転生という概念をご存知でしょうか?
下記にWikipediaからの引用を掲載します。
輪廻(りんね[1])または輪廻転生(りんねてんしょう[2][3])とは、サンスクリット語のサンサーラ(संसार Saṃsāra[4][5])に由来する用語で、命あるものが何度も転生し、人だけでなく動物なども含めた生類として生まれ変わること[1]。
https://ja.wikipedia.org/wiki/輪廻
原始仏典では基本的に天、人、畜生、餓鬼、地獄の五道輪廻が説かれる。経典によっては阿修羅身(巴: asurakāya)が説かれることもあるが、この阿修羅は餓鬼(巴: peta-asura)[28]、天人(巴: deva-asura)[注 5]のいずれかに分類される。もしくは阿修羅道としてひとつの道と看做し六道を説く場合もある。 これら天・人・修羅・畜生・餓鬼・地獄を、併せて六道と称するようになった。
https://ja.wikipedia.org/wiki/輪廻
これらが本作品のテーマとなるもの。
読みはじめた段階では全く意味がわからないと思います。
最後の短編を読み終えた時、あなたの概念が変わるかもしれません。
感想
最初は全く意味がわからず、「ハズレ作品引いちゃったかなー」なんて思いながら1つ目の短編を読み終えました。
せっかく購入したので2編目を読み始めるとこの世界観にどっぷりと引き込まれていってしまいました。
一つ一つの短編はよくあるホラー作品だったり、意味がわかると怖い話のような内容です。
これらがだんだんとつながっていき、最後の短編で一気に持っていかれるといった感じ。
恐怖や不気味さがどんどん加速していくような作品で、僕個人としては非常に好みでした。
ホラー作品は長いとダレる傾向にあるものも多いので、これぐらいのページ感がいいのかもしれません。
短編として独立させるのではなく、つなげてしまうことで怖さを何倍にも膨らませることのできる点がホラー短編の一つの魅力ですね。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
ホラー短編でできるであろう恐怖をしっかりと見せつけてくれた作品でした。
今後の梨さんの作品も非常に楽しみです。