これ、フィクションだよな…? 読んでいる途中に頭の中に浮かんだ感想はこれでした。
そう思わせてしまうだけのリアルさが本作には描かれています。
「見つけてくださってありがとうございます。」
今、僕の頭の中はこの言葉でいっぱいです。
本作の特徴
本作の特徴といえば、「モキュメンタリー」の手法を取っていることが一番に挙げられると思います。
モキュメンタリーとは、フィクションをドキュメンタリーに見せかける表現手法のことです。
「モック」と「ドキュメンタリー」を合わせた造語になっています。
元々は映像業界で使われていた言葉で、最近では小説などでも使われている手法で、
雨穴『変な家』や梨『かわいそ笑』などのヒット作にも使用されている手法です。
本作ではそんなモキュメンタリーを使用して書かれており、
読み手の私たちにジワジワと恐怖を与えてくるような作品に仕上がっています。
近畿地方のある場所とは一体どんな場所なのか?
何を「見つけた」のか?
読み進めるほどに恐怖が増していく感覚を味わうことができました。
分厚さの割に意外と読みやすい
本作は様々な短編をまとめ上げて一本のシナリオを作り上げているので、
非常に読みやすいんですよね。
僕はこの『近畿地方のある場所について』は発売の2、3ヶ月前からチェックしていて、
非常に楽しみにしていた作品でもあったんです。
しかし、タイミング悪く多忙を極めてしまい、まとまって読書するだけの
時間を確保することができなかったんですよね。
でも気づいたらスルスルと読み終えてしまうことができました。
それはやはりこの作品が短編を中心にシナリオ構成されているというのは一つの要因かと思います。
時間のなかった当時の僕でも1週間ぐらいで読み終えることができましたので、
仕事に忙殺されているけど芯の通ったホラー作品読みたいって人にはオススメの1冊です。
袋とじのドキドキ感
今回僕が購入したのは紙の書籍だったんですが、
ページの一番後ろに袋とじがついていました。
読み終えるまで全く気づかなかったんですが、
袋とじを開けて仰天しました。
袋とじは自分で開けてみてこその醍醐味だと思いますので、
ぜひ読了後に皆さん自身の目でご確認いただければと思います。
まとめ
読み勧めていくうちに、結末についてはなんとなく
予測がついてしまう方もいらっしゃるかとは思います。
それでも最後まで読んでみてほしい作品となっています。
展開が薄っすらとわかりながらも鳥肌が立っていく感覚は最高です。
見つけてくださってありがとうございます。
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