「これ、フィクションだよな…?」
背筋(せすじ)さんの話題のホラー小説『近畿地方のある場所について』を読んでいる最中、何度もそう自問しました。
本作には、フィクションと現実の境目が分からなくなるほどの、圧倒的なリアルさと恐怖が描かれています。
この記事では、そんな『近畿地方のある場所について』の魅力や感想を、ネタバレなしでレビューします。
「気になっているけど、どんな話?」「怖いの?」と思っている方の参考になれば幸いです。
読み終えた今、私の頭の中は「見つけてくださってありがとうございます」という、あの印象的な言葉が持つ本当の意味でいっぱいです。
『近畿地方のある場所について』とは? – 作品概要
- 著者: 背筋
- ジャンル: ホラー、モキュメンタリー、ネット怪談系
- 概要: 近畿地方に実在するとされる“ある場所”を巡り、ネット掲示板の書き込み、インタビュー記録、雑誌記事など、様々な形式の断片的な情報を繋ぎ合わせて真相に迫っていく形式のホラー作品。日常に潜む不気味な気配と、調査を進めるうちに明らかになる恐ろしい事実が描かれます。
本作最大の特徴「モキュメンタリー」が生むリアルな恐怖
本作の一番の特徴は、やはり「モキュメンタリー」の手法を取り入れている点でしょう。
モキュメンタリーとは、フィクション(作り話)を、ドキュメンタリー(記録物)に見せかける表現手法のこと。「モック(模擬の)」と「ドキュメンタリー」を合わせた造語です。元々は映像業界で使われていた言葉ですが、近年では小説でも用いられ、雨穴『変な家』や梨『かわいそ笑』などのヒット作にも使用されています。
本作では、このモキュメンタリー手法が非常に効果的に使われています。
インタビュー記録、雑誌記事、手書きメモ、ネット掲示板の書き込みなど、様々な体裁の「本物らしい」資料が提示され、読者はまるで自分が調査員になったかのように感じます。
フィクションと現実の境界が曖昧になり、「これは本当にあったことなのでは?」と思わせるリアルな質感が、じわじわと迫りくる独特の恐怖を生み出しているのです。
「近畿地方のある場所」という、具体的な地名を匂わせる設定も、その不気味さを際立たせています。
- 何を「見つけた」のか?
- 「ある場所」では一体何が起こっているのか?
読み進めるほどに謎と恐怖が増していく感覚は、本作ならではの醍醐味です。
分厚いのにスルスル読める!読みやすさの秘密
約400ページと分厚い本作ですが、意外なほど読みやすいと感じました。
その理由は、様々な短編や資料形式の断章を繋ぎ合わせて一つの大きな物語を構成しているため。
章ごとに記録の形式や視点が変わるため、飽きずにテンポよく読み進めることができます。
実は僕自身、この本を楽しみにしていたものの、読むタイミングで多忙を極めてしまい…。
しかし、細切れの時間でもスルスルと読み進められ、気づけば1週間ほどで読了していました。
まさに、仕事や学業で「忙しいけど、読み応えのある骨太なホラーが読みたい!」という人におすすめできる一冊です。
紙書籍ならではの仕掛け「袋とじ」の衝撃
僕が購入したのは紙の書籍版なのですが、巻末に「袋とじ」が付いていました。
存在に気づいたのは読了後でしたが、開けてみてその内容に仰天しました…!
このドキドキ感と衝撃は、紙書籍ならではの醍醐味だと思います。
内容はここでは伏せますが、未読の方はぜひご自身の目で確かめてみてください。
(電子書籍版では通常通り読める形で収録されているようです)
感想・評価:わかっていても怖い、鳥肌ものの読書体験(ネタバレなし)
読み進めるうちに、物語の結末や真相について、ある程度の予測がつく方もいるかもしれません。
正直、僕も「もしかしてこういうこと…?」と感じる部分はありました。
しかし、それでも(あるいは、だからこそ)最後まで読む価値があります。
展開が薄っすらと見えているのに、じわじわと恐怖が増し、ページをめくるごとに鳥肌が立っていくような感覚は、本作ならではの極上のホラー体験でした。
「怖い、でも続きが知りたい」という気持ちで、本当に読む手が止まりませんでした。
まとめ:『近畿地方のある場所について』は読むべきか?
結論として、ホラー好き、特にネット怪談や都市伝説系のリアルな恐怖が好きな方には、強くおすすめします!
- モキュメンタリー手法による圧倒的なリアルさ
- 日常に潜むじわじわとした不気味さ
- 分厚くても読みやすい構成
- 紙書籍版の**「袋とじ」**という仕掛け
- 分かっていても鳥肌が立つ読後感
これらの要素に少しでも惹かれるなら、ぜひ手に取ってみてください。
読了後、きっとあなたも呟くはずです。
「見つけてくださってありがとうございます。」



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